岸田 悟 昭和46年度入学,電子工学科
“古稀”を迎えて―心に残る言葉(1)―
「つれづれなるままに,日暮らし,硯に向かいひて,心にうつりゆくよしなしごとを,そこはかとなく …」 (鎌倉時代の兼好法師“徒然草”から引用)のような気持でコラム記事を書くことにしました。それでも,時間も頁も足りません。今日の早朝ジョギングをしながら,NHKBS の番組,朝 8 時前に放映の 「こころ旅」(火野正平さんが自転車に乗って便りがあった地方を訪問し,その便りを読み上げる)を思い 出しました。第 1 回目と第 2 回目のコラムには感動しましたが,年齢に関係なく,「湖鳥会」会員は誰で も“心に残った言葉・写真など”を投稿していただければ,より多くの同窓会会員が参加し,共有することができ,コラム・シリーズは継続されると考えます。
私にとって大事な言葉は,2018 年 3 月の退職記念講演で使用した論語(巻第一 爲政第二 四)“吾十有 五而志乎学,三十而立,四十而不惑,五十而知天命,六十而耳順,七十而従心所欲,不踰矩”です。そこでは,大学の教員として 40 年近くを高等教育課程の教育と研究の観点から振り返ってみたものです。「大 学の常識は社会の非常識!」と言われており,一般的には受け入れられないかもしれませんね。
鳥取大学湖山キャンパス周辺 1965 年⇒2013 年
鳥取大学工学部は 2015 年で 50 周年を迎えました。人の一生が上記の論語で表されるなら,人が創る組織である鳥取大学工学部もまた,「五十而知天命」となったところですね。そうであれば,「六十而耳順, 七十而従心所欲,不踰矩」に向かって人(社会)からのメッセージに耳を傾けて国立大学法人鳥取大学とし て地域社会に対して有意義な高等教育課程の教育と国内外に優れた研究成果を発信することを期待しています。
時間ができたら,鳥取大学湖山キャンパスを訪問されませんか。湖山池も日本海も鳥取砂丘も昔のま まですよ!
“古稀”を迎えて―心に残る言葉(2)―
お酒「古稀新」(こきあらた)
鳥取大学湖山キャンパス:図書館前の紅葉と工学部棟
鳥取大学の部屋から見える風景は紅葉でした。そして,今年(2021 年)で“古稀”を迎えました。2 年位前に鳥取大学 70 周年記念式典で披露された“古稀新”(こきあらた)(1000 本限定で完売。農学部の学 生がつくった米と酒)を自分の古稀の御祝に購入しておき,飲みました。そして,「今年は,再スタートで 働こう!」と考えております。
私の“心に残る言葉”は小学校・卒業アルバムに書かれた言葉「山中鹿之助の祈り:願わくは我を七難 八苦に逢わし給えとマラソン競争の君の頑張りと根気で生涯を貫け」です。古稀を迎えるまでは,封印し ていました。この言葉は当時の校長先生が 6 年生のマラソン大会での優勝を受けて書かれたもので,“七 転び八起き”ならわかりやすいが,“七難八苦”では大変なことばかりですね(笑) 大学勤務時は大変な どと考える余裕もありませんでしたが,退職後は,論語「知・好・楽」を使って,テニスや旅行などの遊 びに時間を費やしてきました。古稀になり,アルバムの言葉を再度,読み返してみると,しっかりと受け止めるようになりました。その意味とは,「生涯は常に“七難八苦”の連続である。これによって,人として成長し,人に社会に貢献できる力を身に付けることができる。それらを逃げないで立ち向かい,それ なりに生涯を貫いてこそ,生きる意味がある」ということではないかと感じています。苦しみや難題など を持たないようでは生きていることにならないというだけではなく,人として成長することはできません。大学で教授になったときから,スタートした早朝のスロー・ジョギングは今年で 17 年目を迎え,宇倍(うべ)神社・参拝行は 5~5.5 ㎞/回,15,000 回を越えました。これを継続できるのは,「家族や私と面 識のある人々が心身共に健やかに過ごせますように」という祈りをしなければという強い思いが背中を 押してくれています。
最後に,私の“古稀新”の心得を書き留めておきます。古稀を迎え,「四不(不激・不躁・不競・不随)・ 四耐(耐冷・耐苦・耐煩・耐閑),六然訓(自処超然・処人藹然・有事斬然・無事澄然・得意澹然・失意泰然)」 で「自靖自献」(学問を修めることによって自ら靖んじ,自ら社会に貢献すること)という気持ちで生きる ことと定めましたが,現在のところ,全く効果が見られません(笑)